建築業界見積システムのPOC支援

米国大手ITベンダー(以下、米国ITベンダー)の建築業界向け見積システム・パッケージソフトウェアを、クライアントである国内大手建築メーカー(以下、クライアント企業)への導入を検討するために、POC¹を実施。JP東京は、米国ITベンダーとクライアント企業による日米共同プロジェクトチームのプロジェクト・マネジメントを支援。

米国大手ITベンダー(以下、米国ITベンダー)の建築業界向け見積システム・パッケージソフトウェアを、クライアントである国内大手建築メーカー(以下、クライアント企業)への導入を検討するために、PoC¹を実施。JP東京は、米国ITベンダーとクライアント企業による日米共同プロジェクトチームのプロジェクト・マネジメントを支援。

プロジェクト背景

クライアント企業では独自の見積システムを開発・運用していたが、機能的に老朽化が進んでいた。また使いやすさの点から熟練ユーザーには使いやすいが、一般ユーザーの使い勝手において課題を抱えていた。
具体的には、長期にわたる開発を重ねた機能拡張が限界に来ていた。また一画面に多くの入力項目があり、熟練ユーザーでないと使いこなしが難しく、各拠点においては入力にあたり専任ユーザーを設置している状況であった。

一方、米国では建築業界向けに特化した見積システムをパッケージ化し、ソリューションとして提供するITベンダーが存在していた。製品コンフィグレーターをコアにしたソリューションであり、ユーザーが求める仕様やサイズ、オプション品を選択していくだけで、注文したい製品コードをシステムが特定する仕組みが実装されていた。

一般に、製品コンフィグレーターという名のソリューションは存在しているが、同社のソリューションは、建築メーカー向けに基本となる設定がプリセットされているため、一からコンフィグレーターを設定・構成する必要がなく、短期間で利用を開始できることが最大の利点であった。

導入の実現性を検証(PoC)するために、日米共同プロジェクトチームを立ち上げたが、両社ともに海外企業との共同プロジェクト実施は初めてであった。そこで、プロジェクトを円滑に進めるためにJP東京がその知見と経験を生かし、プロジェクトの推進を支援することになった。

プロセス

米国ITベンダー側には現地にプロジェクト管理者がおり、同社のソリューション導入の最終責任を担っていた。JP東京は、米国ITベンダーのプロジェクト管理者と緊密に情報の共有・連携を取るだけでなく、クライアント企業から知り得た日本の建設業の商習慣や、ITプロジェクトを推進する上での日本のクライアントリレーション等について、アドバイスや提案を行い、現地プロジェクト管理者を支援した。

JP東京のコンサルタントは、主にクライアント企業に出向いて米国ITベンダーとリモート会議を行い、機能要件や現行システムの仕組み等の込み入った議論やデモ等を通じて両社のコミュニケーションを支援した。

米国ITベンダー側コンサルタントが来日した際には(計5回、1回当たり1~3週間程度)、クライアント企業のチーム構成や要望に合わせてアジェンダ・進行スケジュールの提案や事前準備を入念に行い、米国ITベンダーのコンサルタントと共に日本におけるプロジェクト進行を取り仕切った。

また、プロジェクトの推進支援だけでなく、JP東京自身がクライアント企業から入手した説明内容や資料等から、米国ITベンダーが理解しやすいように補足的資料の作成、説明を行った。JP東京のコンサルタントは業務プロセス分析、IT計画、開発経験を有しており、クライアント企業に対して補足的な質問や確認等を行うことで米国ITベンダーの理解を支援した。

成果

PoCプロジェクトは比較的規模が大きく1年弱を要し、プロジェクトメンバーは両社合計で約20名を超えるものとなった。PoCとしては例外的かも知れないが、対象を限定せず網羅的に検証することで、導入時の見極めに役立つ結果を得ることができた。具体的には、ソリューションのユーザー機能の検証に留まらず、複数あるデータ転送プロトコルの検証、カスタマイズの柔軟性、導入後の運用に当たってユーザーに求められる製品データ情報のメンテナンス方法のデモ等も検証に含めることで、導入にあっての課題の洗い出しに必要になるポイントを網羅的に検証できた。

洞察

日本のクライアント企業とのプロジェクト経験がない、あるいは少ない海外ITベンダーに対しては、より丁寧な説明や議論が必要であることが改めて分かった。

米国はロジカルな考え方をすると思われがちだが、プロジェクト外でのクライアント企業のメンバーとの雑談や食事等によるコミュニケーションは大切であり、信頼を得るために役立った。その後のプロジェクトの進行がスムースになった。

前述の通り、プロジェクトの関与者が多く、範囲も網羅的であり、海外共同プロジェクトであることから、入念な事前準備と根回しが必要であることは言うまでもない。

JP東京の差別化要因

日米間等複数の国をまたぐプロジェクトにおいて、JP東京のコンサルタントは業界や業種を問わず、クライアント企業のニーズや特有の業務機能要件等を丁寧に引出し、相手側に伝達することで理解や認識のギャップを埋め、スムースなプロジェクト進行を実現できる。

橋渡し的なプロジェクト管理の支援に留まらず、国内ITプロジェクト経験から影のプロジェクト管理者として海外ITベンダーを強力にサポートする。





¹PoC:Proof of Conceptの略称。概念実証